トップページ >> 事業のご案内 - 文化財事業 >>発掘調査 >>神川町遺跡(80‐2地点)の発掘調査

発掘調査

神川町遺跡(80‐2地点)の発掘調査

 神川町遺跡は、瀬戸市神川町に所在します。瀬戸市南西部に位置し、市域南部を西流する矢田川右岸の河岸段丘上に立地していて、東西約150m、南北約190mの範囲に広がっています。遺跡の東側に井林川、西側に水無瀬川がそれぞれ南流して矢田川に合流しており、遺跡はこの3条の川によって囲まれています。現況は、宅地と畑になっています。

  神川町遺跡周辺には、東に幡山遺跡、西に美濃池町遺跡が隣接し、矢田川対岸の左岸には、羽根遺跡・西脇町遺跡・幡西町遺跡・東本地町東遺跡など、遺跡が集中していますが、これまでに発掘調査が行われた遺跡はありません。

 今回の発掘調査は、既存の建物を取り壊し、新たに宅地造成を行う計画があり、敷地北端の一段高い部分において遺跡に影響が及ぶことが予想されたため、実施しました。調査面積は110㎡です。この地点は、本遺跡のほぼ中央に位置していて、ここから南に向かって緩やかに下り、約150mで矢田川の堤防に至ります。

 本発掘調査は、平成29年2月27日から3月23まで行い、4月前半に補足調査を行いました。その結果、調査区の中央部において、竪穴住居跡が1棟みつかりました。竪穴住居跡は、平面形が四角形で、対角線が東西南北を向いています。床面までの深さは5~10cmと浅いので、住居が造られたときより地面が削られているのでしょう。住居の北側半分が調査区外にあるため、北東壁・北西壁は未確認で、床面の柱穴も、4個のうち1個が検出できませんでしたが、一辺が5m前後の正方形と推定できました。床面中央部には焼痕や炭の堆積がみられました。また、埋土中には土器が散在していました。これらの土器の特徴からみて、古墳時代前期の住居跡と思われます。

 本地点は、川に近くかつ一段高い面にあるという、居を構えるに最適な立地といえます。そして、1棟とはいえ竪穴住居跡を検出しました。この一帯に集落が存在したことを明らかにする、重要な事例となりました。


調査区全景(西から)


竪穴住居跡全景(南東から)