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発掘調査

夕日第5号窯跡の発掘調査

 夕日第5号窯跡は、瀬戸市の中央部、藤四郎町および須原町地内の丘陵地に拡がる陶祖公園に所在していて、瀬戸川右岸の標高137m前後の記念広場に立地しています。調査は、記念広場に計画された藤棚建設の事前調査として実施され、連房式登窯(れんぼうしきのぼりがま)の窯体の一部とこれに伴う柱穴や平坦面が発見されました。
 窯体は丘陵の東斜面に構築されていましたが、広場の造成をした際に谷が埋められ窯体の上方は削平されていました。下方の3房分が残存していて、そのうち最上部は床面が失われ、床下が露出する状況で確認できました。下方の2房も造成の影響を受けていて残存状況は悪く、床面や右側の壁の一部が残される程度で、床下の多くが露出していました。中央の房では幅は1.8mまで確認でき、奥行きは1.2mで、右側に出入り口が付属していました。床下からは別の床面が見つかり、窯体を改修していることがわかりました。また、この床面の下には部分的に物原があることから、周辺に本窯より古い段階の窯体が存在したと思われます。
 平坦面は、窯体の右側に沿って階段状に連続していました。平坦面には薄く幾重にも重なる白色細砂や焼土層の堆積があり、操業に伴って徐々に嵩上げされた様子が明らかとなったほか、平坦面の末端に匣鉢を列状に並べた窯垣を設ける改修も確認できました。
 遺物は、窯道具では色見・匣鉢・匣鉢蓋・トチがあり、製品では磁器の端反碗・丸碗・鉢・花瓶・水滴・筆立・灯心押さえがあり、19世紀中葉を中心として操業したものと考えられています。

4区北壁土層断面(南から)
4区北壁土層断面(南から)

一次窯2室外壁検出状況(南から)
一次窯2室外壁検出状況(南から)

夕日5号窯跡806 最下面完掘状況(北から)
最下面完掘状況(北から)

窯体1・2室完掘状況(東から)
窯体1・2室完掘状況(東から)